- 甲状腺外来 -

甲状腺とは

甲状腺は首の前側に大きな梅の実ほどの大きさのものが左右にあり、甲状腺が分泌している甲状腺ホルモンの働きは、体温を一定に維持したり、神経を刺激して心臓や胃腸などの内蔵の動きを調節したり、筋肉を緊張させたり、全身のいたるところにはたらきかけてその機能を調節し、それぞれの細胞の新陳代謝を刺激したり促進したりする作用があります。体が円滑に活動し成長するためになくてはならないホルモンと言えます。血液中の甲状腺ホルモンが不足する病態を『甲状腺機能低下症』、過剰にある病態を『甲状腺機能亢進症』と言います。

甲状腺機能亢進症(バセドウ病)

血液中の甲状腺ホルモンが過剰な状態を甲状腺機能亢進症といいます。

全身の代謝が亢進するので、いつでも全力疾走し続けているようなものです。 甲状腺の病気の一種であるバセドウ病では、眼が出ることが代表的な症状といわれていますが、すべての患者様で眼が出るわけではありません。バセドウ病では、甲状腺ホルモンを過剰に産生することにより機能亢進症状を起こします。
こんな症状が現れたらご注意ください。
1. 動悸(心臓がどきどきする)、頻拍(心拍数が多い)、汗かき、暑がり
2. たくさん食べるのにやせる
3. 手の指が震える
4. 疲れ易い、イライラして落ち着きがない
5. 眼球突出や眼光が鋭くなる

治療方法

薬物療法、放射線ヨード療法、外科療法などが主な治療法ですが、心身の安定を保ち、過労や精神的ストレスを避けることも必要になってきます。
食事面では、栄養価の高いタンパク質、ビタミンの豊富な食事をし、酒、タバコ、濃いお茶、コーヒーなどは避けるようにします。

薬物療法としては、抗甲状腺剤といわれる、甲状腺ホルモンの合成を阻害する薬を使って過剰なホルモン合成を抑え、血中の甲状腺ホルモンを正常に保つ治療法がありますが、非常に手軽な治療法ですので安心してお受けください。小児の場合まず抗甲状腺剤内服を選択するのが一般的です。

甲状腺機能低下症

生まれつき原因があるものを先天性、生後原因が生じるものを後天性と言い、先天性甲状腺機能低下症が代表的な疾患でその大部分を占めています。 甲状腺ホルモンの作用は全身の細胞で行われるので、ホルモン不足により全身で様々な症状を引き起こし、全身の細胞の代謝が低下するので、言わば動物に見られる冬眠状態にでも入っているようなものです。治療法としては、不足した甲状腺ホルモンを補う補充療法が一般的で、一生涯補充を継続することがほとんどです。
こんな症状が現れたらご注意ください。
1. 元気がない、疲れやすい、脱力感、寒がり
2. 体重増加、食欲低下、便秘
3. 記憶力・集中力の低下
4. 発汗が低下、乾燥
5. 顔つきがはれぼったく、口唇や舌は大きくなる

治療方法

ヨードを過剰に摂取したために起こった甲状腺機能低下症ではヨードの摂取を止めてもらいます。
それ以外の症状では甲状腺ホルモンを補充療法として内服していくのが一般的です。急速な甲状腺ホルモン剤の投与は心臓に負荷がかかり、狭心症発作や心筋梗塞を起こす可能性がありますので、初めは少量の甲状腺ホルモン剤を処方し、3ヶ月位かけて徐々に治療していきます。

治療の流れ

1
診察
各病気については、それぞれ詳しくご説明します。なお、何か疑問点がありましたら医師に相談ください。
2
検査
・甲状腺エコー
・血液検査など
3
診察
診察室にて医師の診察があります。
問診票と検査結果を照らし合わせ、今後の治療方法をお話していきます。
4
結果報告・治療
次のご来院時に検査の結果と症状の状態の説明をします。それを元に治療方法とその期間、生活面での注意事項などをご説明いたします。

院長からのひとこと

甲状腺ホルモン剤の服用の量は患者さまの年齢、健康状態、症状によって異なり、まずは少量から開始していきます。
この甲状腺ホルモン剤は、長期服用しても副作用の心配がほとんどありませんが、他の合併症がある場合、慎重な対応が必要となってきます。定期的な医師の診断の上、計画的に改善へと向かわせましょう。専門医による診察を受け、きちんと治療すれば甲状腺の病気を怖がる必要はありません。